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貸金業者は無担保が多い?フリーローンで担保や保証人が持つ役割とは

「誰でも自由に申し込むことが出来て使用目的も自由である」、フリーローンの契約誘い文句は、大体どこでもこの様な文面で彩られています。
カードローンに比べてフリーローンは、金額さえ極端に多くなければ、比較的審査に通りやすいという印象を抱かれがちです。金額が大きくても、「担保や保証人さえ揃えれば、収入に不安がある人でもお金を融資してもらうことが出来る」というのが、一昔前の貸金業界の常識でした。
しかし、現在の貸金業者のフリーローンには、このような考えが通用しなくなっています。今回は、フリーローンの大まかな歴史と特徴を知ってもらった上で、担保や保証人の持つ役割がどのように変化してきたのかを解説していきます。

一昔前のフリーローンと現代のフリーローンの審査の違い

フリーローンはカードローンが金融商品として登場する以前から存在した、歴史の長い融資方式です。貸金業界の黎明期と呼ばれる1980年代、昭和58年に貸金業法が法令として施行された当初から、金融業者が個人に対して融資をする代表的な方法でした。
当時のフリーローンは、現在ほど審査が合理化されておらず、借り入れを申し込みにした人が、信用に値するかを正確に評価することが出来ませんでした。
「信用できない人に多くのお金を貸すことは出来ない」という貸金業の大原則は当時からあったため、審査制度が整っていない当時は、足りない信用を補うという形で担保や保証人というものを重視していたのです。
つまり、当時の貸金業者にとって、個人の利用者に金利の低い融資をリスクを回避して行うためには、担保や保証人というものは必要不可欠なものだったのです。
もちろん、それが必要ないぐらいに信用が高い融資相手もいました。しかし、そんな相手は少数であり、お金を借りたいと考える人は、大抵の人が返済能力に不安要素があったというのが実情なのです。
貸金業者のフリーローンの性質が変化するのは、1990年代に入ってからです。正確には、1980年代にも存在した「日本信用情報機構(信用情報機関)」が貸金業と関わってくるのを契機として、フリーローンの保証人や担保の役割が小さくなっていきました。

法整備によるフリーローン審査形式の変化の歴史

かつてのフリーローンが担保や保証人を重要視していた最も大きな理由が、借り入れを申し込んできた相手の返済能力や過去の信用実績を測りかねていたためです。
「この人は本当に融資した分を返済しきれるのだろうか」という不安が貸金業者には常に存在していました。無論、これは現在の貸金業者も抱いている認識ですが、当時は現在の比ではないほど、疑いの念が強かったのです。
利用者が返済できない事態になれば、利用者だけでなく貸した側にも責任が及ぶようなケースもあるため、迂闊に高額の融資を行うことが出来ない状態でもありました。その結果として「担保」や「保証人」という制度に頼ることになっていたのです。
この現状が明確に変化したきっかけが、2007年に起こった「貸金業法の改正」です。同時に、「指定信用情報機関」の設立に伴い、個人の信用情報を貸金業者が調べることが出来るようになったことです。
制度の改正と、個人情報と信用評価を一手に引き受けることが出来る企業との連携により、今でいうカードローン審査やフリーローン審査の時に、信用情報機関に利用者の情報を照会するというプロセスの基礎が出来上がったのです。
こうして、かつての担保や保証人がなくては高額の融資が受けられない金融業者の数は大きく減り、それに伴い、担保や保証人の重要性も徐々に小さくなっていったのです。

保証人や担保は、どんな人やどんな物がなれるの?

お金を借りるときに、保証人や担保を求められることが少なくなった現在では、そもそもこれがどういったものであるかを知らない人も意外と多くいます。
ここでは、そういった人に向けて、「保証人」と「担保」の概要と仕組みを簡単に解説していきましょう。フリーローンに審査では、現在でもこの二つが要求される場面があります。覚えておいて損はないでしょう。
銀行のフリーローンの利用規約をよく観察すると、一部に「担保・保証人」という項目を見つけられると思います。ここに「保証会社の判断によっては必要となる場合があります」という文面があるケースでは、未だに担保や保証人が役割を持っているという事実が窺えます。
「担保」とは、契約する人が持っている不動産(土地や建物)のことであり、「保証人」とは、利用者が返済できない状態(死亡・失踪・高度障害)になった場合に、その人の代わりに返済する義務を負う代理人のことです。
貸金業者にとっては、万が一お金を返してもらえなくなった時に、それによって生じる損害を補填するという役割があるのです。先に述べたように、かつての貸金業者は、利用者個人の信用が不明瞭であったために、貸し倒れのリスクを回避するという目的で「担保」や「保証人」を求めました。
つまり、担保になるものとは、「売却可能であり、その際の利益が債務分を超過する資産価値を生む不動産」、簡単に言えば、契約者が借金返済できなくなった時に、残りの借金を返せるだけの価値がある土地や建物です。

ちなみに、担保にはいくつか種類があります。主に「証券」、「不動産」、「車両」の3種類ですが、最も使われるのが「不動産」なのです。「証券」は利用者が保有する株式や社債を担保にしますが、経営者などが対象のため利用者が極稀で、車は売却益が小さいので原則的に担保にしません。

担保に入れるということは、抵当権を貸金業者または保証会社の人に設定するということです。ちなみに、抵当権とは、債務者が持っている土地を競売にかけてその利益を受け取ることが出来る権利です。お金を貸した人に抵当権を設定することで、万が一債務者が債務不履行になっても、対象の不動産を競売で売り払い、その損害の補填に充てるということです。
担保については、極論すれば抵当権の設定と不動産の指定だけで終わりです。保証人の仕組みは、もう少し複雑になります。次で説明していきましょう。

借金の肩代わりをする「保証人」と「連帯保証人」について

保証人という仕組みは知らなくても、こんな言葉を聞いたことはないでしょうか。「たとえ親兄弟であっても、連帯保証人の捺印は絶対にするな」という文句です。言い得て妙で、連帯保証人の危険性をよく表しているといってもいいでしょう。

保証人は、正確には担保の一種です。不動産などの売却できるものを「物的担保」といい、保証人と連帯保証人を「人的担保」と呼びます。

保証人と連帯保証人、言葉はよく似ているこの2つですが、具体的に何が違うのでしょうか。それぞれの権利と義務について解説していきましょう。
両者とも、基本的な役目は同じです。すなわち、被保証人が債務不履行(借りたお金を返せなくなった)ときに、代位返済を行うことです。要は、借金の肩代わりですね。
保証人と連帯保証人の最大の違いは、ある権利を持っているかどうかです。それが次に挙げるものです。

  • 催告抗弁権(債権者に対して、債務者に再度十分な請求を求める権利)
  • 検索抗弁権(催告に対し、債務者の財産を優先的に返済に充てる要求をする権利)
  • 分別利益(複数の保証人がいるとき、債務を保証人の数で割った分までしか負担しないと主張する権利)

この3つの権利は、保証人しか持っていません。それぞれを詳しく見ていきましょう。催告とは、債権者(お金を貸している人)が債務者(お金を借りている人)に「早くお金を返してください」と催促することです。
催告抗弁権とは、この催告に対して、保証人が抗弁、つまり反対して抵抗する権利のことです。債権者に対して、保証人である自分に請求せずに、元の債務者から返済をするように、または、返済するために資産を拠出するように要求できます。ただし、債務者が死亡した場合は、この権利は発生しません。
検索抗弁権とは、催告抗弁権とともに行使され、債権者の資産を返済に充てるまで自分の資産を守る権利です。簡単に言えば、被保証人の不動産を処分してないのに、保証人の不動産を処分するのはおかしいと主張できる権利のことです。この権利も、保証人が死亡している場合は効力を失います。
分別利益とは、複数の保証人でリスクを分散させる方法です。これは権利とは少し異なり、被保証人が交渉の際に、相手に保証人を受けてもらいやすくするために提示する条件の一つです。
例えば、「あなた1人で500万円の保証人になってくれ」と言われるより、「あなたを含め合計5人で合計500万円を保証してくれ」とした方が、相手も保証人になってくれやすくなります。加えて、保証人は、合計債務を人数で割った分だけを負担すると条件を付けて契約することで、1人あたりのリスクを減らすことが出来るのです。
保証人は、この3つの権利を持っています。不当な請求に対してかなり自由が利くのです。しかし、連帯保証人は、この権利を何一つ持っていません。つまり、何らかの理由により債務者が返済不履行になったときには、連帯保証人は有無を言わさず返済を肩代わりしなくてはいけなくなるのです。
連帯保証人は契約当人の債務者と同じ程度の返済義務を負い、貸金業者が求める保証人とは、ほとんどの場合がこちらの連帯保証人を指しているのです。

連帯保証人は怖い!なってくれと言われたら?

銀行のフリーローンでは、審査の時に融資金額や保証会社の評価によって、連帯保証人を要求されることがあります。連帯保証人を見つけるのは容易ではありません。知っての通り、借金を肩代わりするのが保証人ですが、その中でも連帯保証人は、債権者に抵抗することが出来ません。
よくある事件が、債務者が莫大な借金をして行方不明になり、連帯保証人がその尻拭いで破産したというケースです。連帯保証人は、どんなに債務の額が大きくても、その借金を「返済できない」とは言えません。返済できないなら新たに借金してでも返済しなくてはいけないほど、責任が重いのです。
金融に詳しい人が、連帯保証人になろうとしている人にする最も一般的なアドバイスは、「その借金をあなたが返すつもりで引き受けなさい」というものです。つまり、連帯保証人にとって、被保証人がした借金は、連帯保証人その人がした借金と同じなのです。
親族でもない相手に連帯保証人を依頼するのであれば、相手に相当のメリットがなくてはとても引き受けてくれません。一般的な連帯保証人は、「保証料」というものを請求するのが通例です。連帯保証人を引き受ける代わりに、債務金額の5%前後を毎年被保証人に請求するのです。言ってみれば、連帯保証人の迷惑料です。

連帯保証人を集めるために必要な資格とは?

誰かに連帯保証人を依頼するというのは、思った以上に大変だと考えて問題ないでしょう。いくら言葉で飾っていても、要は「自分に何かあったら、代わりに借金返してくれ」と頼んでいるようなものなのです。
だとすれば、これを依頼される相手としては、この「何があったら」の「何か」が出来るだけ少ない相手でなくては話にならないと考えるでしょう。債務者が返済できなくなる理由で考えられるのは、いくつかあります。

  • 職を失い返済能力がなくなる
  • 事故や病気によって死亡または高度障害となり返済義務がなくなる
  • 最初から返済する気がなく失踪され騙された場合

連帯保証人に返済義務が発生するのは、8割以上がこのいずれかと言われています。最後のは例外としても、万が一返済できなくなる可能性がある以上、連帯保証人を受ける側の者にも能力が求められます。
連帯保証人を受けてもらう前提として、健康体であること、返済能力が十分にあること、いざというときに連帯保証人に処分できる資産の管理を任せる約束が出来ることが必要になります。

銀行フリーローンで担保や保証人を求めるのはどんな相手か

基本的に、銀行のフリーローンでもよほどのことがない限り、担保や保証人を求めるようなことはしません。その理由は詳しくは後述しますが、消費者金融のフリーローンは多くが無担保だからです。
有担保型銀行フリーローンで保証人を求めるケースで多いのは、融資金額が非常に大きい(800万円以上)場合と、返済実績が0(マイナスではない)の利用者である場合です。
返済能力があると判断しても不安要素が残るのは、利用者が初めての契約者で高額融資のケースです。大抵の場合は、融資金額を引き下げるか審査で弾くことが多いのですが、交渉の際に、どうしてもその金額を借りたいと希望する利用者に対して、譲歩案として保証人を求めるケースもあります。
無担保型の銀行フリーローンでは審査に通らなくても、有担保型であれば、連帯保証人または不動産担保によって高額の融資を受けることが出来る可能性が上がるため、この制度が依然として活用されているのです。

無担保が多いのはなぜ?消費者金融のジレンマ

銀行フリーローンでは、連帯保証人をはじめとする担保融資契約が残っていました。しかし、フリーローンを展開するもう一つの貸金業界である消費者金融では、担保という考えはほとんどありません。

大手、中小に限らず消費者金融で担保を求めていない最大の理由は、審査に時間を掛けることが、業績に即座に悪影響を与えかねないという懸念要素にあります。フリーローンの本質は、素早くお金を借りたいという借り手のニーズと、審査を簡略化したいという貸し手のニーズが噛み合って成立するものです。
「担保を信頼性を調べて~」などとやっていたら、審査に時間が掛かり過ぎ、利用者が他業者へ逃げてしまうのです。信頼できる相手にお金を貸したいけど、時間をかけて調べる余裕もない。結果として不安がある相手に貸さなくてはいけないというジレンマがあるのです。

消費者金融は、カードローンを重視して契約してもらおうという戦略をとっています。しかし、フリーローンも十分利益の根幹を支える事業でもあるのです。
利用者が増えた2000年代ですが、利用者以上に増えたのは消費者金融業者でした。その結果、激しい顧客の争奪戦が起こり、どれだけ迅速に、どれだけ簡単な審査で契約できるかというのが消費者金融の争点になったのです。
その過程で、審査に大幅な遅れをもたらす担保審査は不要だと淘汰されていったのです。補えない契約者の信用不足は、その分金利を高くしておけばいいと考えられるようになりました。これが、消費者金融のフリーローンが無担保である理由です。
【こちらの記事も参考にどうぞ!】
銀行のフリーローンとは一味違う!消費者金融のフリーローン

審査における担保の役割を代わりに担っているものとは?

消費者金融のフリーローン審査で担保がないということは、代わりに利用者を信用を測る物差しが必要になるということです。金利だけに頼ってしまえば、利用者はより金利の低い業者から借りようと行動するので、金利を大手以上に低くするのが極めて困難な中小の消費者金融が生き残れなくなります。
審査の時に消費者金融が重要視するのが、信用情報機関に記載されている情報です。担保がなくても、融資に値する相手なのかどうかを判断する指標になるのが、この信用情報機関の内容なのです。
契約者が過去の債務で問題を起こしていないか、過去にどんな借り入れをしてきたのかというのが、信用情報機関で把握することが可能であり、これによって担保がなくても、ある程度の信頼評価を下すことが出来るようになっているのです。
逆に言えば、無担保が主流の消費者金融フリーローンにおいて、この信用情報機関にマイナス情報が載ってしまうと、カードローンやフローローンを契約することが極めて難しくなってしまうのです。

こんなことが問題になる!信用情報機関に記載される行為

消費者金融のフリーローンでは、担保や保証人といったものは、役割を終えています。無担保の消費者金融で重視されるのは、信用情報機関に記載された情報と個人の返済能力のみです。
その信用情報機関に「問題行動」とされる行為がいくつかあり、それをしてしまうと最短で5年間、最長で7年間もの間、「異動」という名称で記録が残ります。これがあると、金融取引で信用できない相手というレッテルが張られ、個人の借り入れ及びクレジットカード契約に多大な不利益を被ることになります。
無担保型の消費者金融フリーローンにおいて、高確率で融資契約できなくなる異動行為は、「債務整理・代位返済・延滞」の3つです。
債務整理というのは、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4つの手続きです。これらの行為を概要をまとめて言えば、「自分の力では返済できなくなった借金を合法的に減らす・返済義務を免責する手続きをとる」行為です。
代位返済というのは、今回再三にわたり解説してきた保証人と連帯保証人の話です。自分が返済できなくなり、保証人または連帯保証人に借金を肩代わりしてもらったときに、被保証人に記録されるのが代位返済です。返済を肩代わりした人には記録されないので安心してください。
延滞というのは、自分がした借金を期日通りに返済できずに、待ってもらったことがある人のことです。基本的には長期間返済できなかった時に記載されますが、期間中に1円も返済しない「滞納」という行為では、短期間であっても「延滞」として記載されることがあります。

有担保型と無担保型のフリーローンの使い分けができるようになろう!

貸金業者のフリーローンには、銀行が提供している有担保型のフリーローンと、銀行と消費者金融が提供している無担保型フリーローンが混在しています。
どちらを利用するにも一長一短があり、これは利用者が適切に判断して使い分けることで意味を持ちます。

無担保型のフリーローンは、利用金額が小さく、すぐに借り入れをしたとき、かつ何度も利用しないで一度の借り入れで目的が達成できるときに利用すべきサービスです。一方、有担保型のフリーローンは利用金額が大きく、返済が数年以上にわたるような大型融資の際に本人の信用を上げるために活用すべきです。

有担保型のフリーローンは、無担保型に比べて同じ融資額でも金利が低いという特徴があります。どちらの場合であっても、フリーローンである以上、融資を受けられるのは契約当初の一回きりです。
カードローンは契約した後でも追加融資が可能ですが、フリーローンはそうではありません。最初に必要金額を割り出し、自分の返済能力を考え、それだけの額を金融業者が貸してくれるかを判断して、無担保を申し込むか、保証人を立てて有担保を申し込むかを決めましょう。
【参考記事】
銀行や消費者金融で借入前にカードローンとフリーローンの違いを知る

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