かつてローンは住宅ローンのように利用目的が決まっている場合に貸付されるものでしたが、最近ではカードローンのように何に利用しても良いというようなローンも出現しており、こういったローンをフリーローンと呼んでいます。
ローンを借りたら元本に利息を付けて返済しなければなりませんが、この利息の計算の元になるのが金利で、金利には借りた時の金利が完済まで適用される固定金利と途中で見直される変動金利が有ります。
フリーローンにもこの固定金利のものと変動金利のものがあるため、それぞれの金利がどういったものなのかをよく理解して、自分の借り方を良く踏まえてうえで、どちらを選ぶべきなのかを判断しなければなりません。
カードローンもフリーローンの一種!フリーローンって何?
ローンが必要と言う場合何らかの理由でお金を使う目的が有り、自己資金だけでは足りない状況が考えられます。銀行では多くの人がお金が必要になるであろう目的に沿っていくつかの目的別ローンを用意しています。
しかし近年では生活が多様化してきており、必ずしもお金が必要な理由が、銀行が用意した目的に沿っているとは言えなくなってきており、目的がはっきりしなくても借り入れできるフリーローンの利用が増えてきています。
特に最近では従来のローンとは一線を画した設定された限度額内であれば何度も借りては返すを繰り返せるカードローンの利用者が増えています。
ただこのカードローンも利用目的が限定されていないと言う点でフリーローンの一種に分類されています。
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ローンは利用の目的があるから借りるものだった
そもそもローンというものは、何かお金を利用する目的が無ければ借りません。何もないのに借入して利息を払おうなどと考える人はいないからです。
そこで銀行などの金融機関はその目的に合わせてローンという金融商品を開発してきたのです。つまりローンと言うのは目的を達成するための手段として成長してきたわけです。
それらの目的と言うのは、住宅の取得であったり、自動車の購入であったり、多くの人の人生に共通するもので、銀行もそれに合わせてローンを展開してきた経緯が有ります。
これ等のローンは目的達成のために借りるものですから目的別ローンと言われ、時代とともに新しいニーズが生まれ、例えばリフォームローンやブライダルローンなど新しい目的別ローンも提供されるようになって来ています。
利用目的を限定していないのがフリーローン
しかし生活が多様化してくると銀行が用意している目的別ローンだけではカバーしきれないような新しい目的あるいは珍しい目的を持つような人が増えて来てしまい、従来の品揃えでは対応しきれなくなってしまいました。
銀行はお金を借りてもらいたいのに貸せず、利用者はお金を借りたいのに借りられないという状況が発生してしまったわけです。そこでこういった全体から見れば少数の需要を満たすために提供されたのがフリーローンだったわけです。
したがってこの頃はフリーローンというのはあくまで目的別ローンの補完と言う意味で提供されるものでした。しかし、時代が進むにつれて、利用者のニーズは更に多様化してフリーローンは銀行にとっても重要な存在になっていきます。
カードローンもフリーローンに入る
この頃になると銀行以外にも消費者金融が発達して、担保無し、保証人なしで融資をする金融商品が提供され、しかもカードを使って何度も借り入れが可能というような使い勝手の良いローンだったため利用者も急増していました。
これを無視できなくなった銀行は、大手消費者金融と提携して、同じような仕掛けのローンであるカードローンの提供を始めます。このカードローンも事業性資金以外ならば利用目的を問われないのが普通で、分類的にはフリーローンに入ります。
以前から銀行のローンは担保や保証人の用意が必要で、借りるに借りられなかった利用者は、このカードローンによって非常に借り易くなり、いまやフリーローンであるカードローンの全盛時代ともいえる程利用者が増えました。
ローン纏め
ここでローンについて纏めておきます。ローンは次のように分類できます。
ローンの種類 | ローン | 融資方法 |
---|---|---|
目的別ローン | 住宅ローン | 証書貸付 |
目的別ローン | 自動車ローン | 証書貸付 |
目的別ローン | 教育ローン | 証書貸付 |
目的別ローン | リフォームローン | 証書貸付 |
目的別ローン | ブライダルローン | 証書貸付 |
目的別ローン | … | |
フリーローン | 多目的ローン | 証書貸付 |
フリーローン | フリーローン | 証書貸付 |
フリーローン | カードローン | カードローン |
銀行によっては多目的ローンは目的別ローンとして扱っている場合も有ります。証書貸付と言うのは契約後融資は1回だけであとは返済して行くというタイプのローンを言います。
カードローンはフリーローンに分類されますが、融資が何度も可能ということで、従来の証書貸付型のローンとはまったく性格の異なるローンとして扱われる場合も有ります。
従来から提供されている目的別ローンだけではカバーしきれない部分をカバーする方法としてフリーローンのように何に利用しても良いと言うローンを提供する場合の他に多目的ローンというものを提供している場合が有ります。
多目的ローンと言うのは、利用者が借入時に利用目的を明示して、その目的を実現するために融資が行われるローンで、その目的以外には利用することができません。
つまり何にでも利用できるわけではなく、この意味で目的別ローンともいわれるものになります。
カードローンが出現して、証書貸付で何にでも利用出来るフリーローンは廃止し、従来の多目的ローンを、改めて証書貸付でのフリーローンと定義し直している銀行も有るので、利用する場合にはそういった点を確認する必要が有ります。
固定金利が得か変動金利が得か?金利というものを理解する
ローンは利息を付けて返済しなければなりません。利息は元本と金利と借入期間で計算されますが、元本と借入期間はそう変えることができませんから、利息の大きさを決める大きな要素が金利です。
金利には様々な分類方法が有りますが、固定金利と変動金利と言う分け方もこの分類の一つです。固定金利は返済が終了するまで借入時に設定された金利が続くもの、変動金利は経済環境によって変動するものです。
どちらが利息が安いかは大変難しい問題で、例えば借入時が非常に金利が低い時期であれば、固定金利にしておけばずっと低金利で返済を続けることができます。
逆に金利が高い時期では変動金利にして将来金利が下がるのを待ったほうが有利でしょう。
固定金利と変動金利はどう違うのか
ローンを選ぶ場合に気を付けなければならないのが金利です。金利はローンの説明資料を見れば必ず記載されていますが、これ等の金利は経済動向によって日々変わっていく可能性があるものです。
このためローンを選ぶ場合に表示されている金利には十分注意する必要が有ります。金利には大きく分けると次の2種類が有り、どちらを採用しているのかは、そのローンによって違います。
金利ンの種類 | 解説 |
---|---|
固定金利 | 融資時点に設定された金利が完済時まで適用される |
変動金利 | 一定期間ごとに経済動向などを勘案して金利の見直しが行われる |
通常その時点の金利を比較すると変動金利よりも固定金利のほうが多少高く設定されており、それだけを見てみると、変動金利のほうが有利な借入ができるということになります。
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将来を考えてみる
しかし、ローンというものは借入れ時点だけを見ていてはいけません。将来的な視点が必要になります。例えば固定金利が10%で変動金利が8%だったとすれば、変動金利のほうが有利に見えます。
しかし景気がよくなって金利の見直しが行われ高金利の時代になり変動金利が見直されて12%に変動したとすると、固定金利の場合は適用される金利は10%で変わりませんから、今度は固定金利のほうが有利ということになります。
逆に景気が低迷し低金利時代になったとして変動金利が6%に見直されたとしたら、今度は変動金利の方がさらに有利になるということになります。
ですからどちらの金利が良いのかは将来の経済動向によって大きく違うため、大変難しい判断になります。
現在日本の景気は低迷して低金利状態になっていますから、今後さらに低金利になるのか、現在が底で今後緩やかに景気が良くなり、それに伴って高金利の時代を迎えるのか判断は大変難しいと言えるでしょう。
固定金利と変動金利のどちらを選ぶべきか
ではこういった中で固定金利を選べばよいのかあるいは変動金利を選んだほうが良いのか、どのように考えれば良いのでしょうか。
実は将来の経済動向も重要な判断材料ですが、もう一つローンをどのように利用するのかと言う視点も大変重要な判断材料になります。
そこで利息に付いてここで復習しておきましょう。利息は次の数式で計算されます。
つまり利息と言うのは金利だけで決まるものではないことに注意しましょう。
借入期間も金利と同じように大変重要な要素になり、この点がローンの選び方にも大きく影響します。
いま簡単のために1年間借りっぱなしで返済は1年後に行うとして100万円借りた時の利息の計算をしてみましょう。固定金利を10%、変動金利を8%とすると利息は次のようになります。
- 固定金利の場合
利息 = 100万円 × 10% × 1年 = 10万円
- 変動金利の場合
利息 = 100万円 × 8% ×1年 = 8万円
固定金利と変動金利による利息の差は2万円となります。
次に同じ条件で1月(30日)で返済するときを考えてみましょう。
- 固定金利の場合
利息 = 100万円 × 10% × 30/365 ≒ 8219円
- 変動金利の場合
利息 = 100万円 × 8% × 30/365 ≒ 6575円
固定金利と変動金利による利息の差は1644円になります。
この結果を見てローンの選び方を考えれば良いのです。次章以降でこの点について考えていきましょう。
本文内の利息の計算では簡単のために1年借りて途中で返済を行わないという仮定で計算しましたが、ローンというのは通常月々返済して行くものですから、実際にはその点を考慮しなければなりません。
このため100万円借り入れして年利10%だとして月々元利合計で1万円の返済を行ったとすると、1月後には利息が8219円ですから、1万円から8219円を引いた1781円元本を返済することになります。
したがって2カ月目の元本は100万円から1781を引いた99万8219円となり、利息はこの元本に基づいて計算されることになります。このように返済を月々行っていけば、徐々に元本が減っていきます。
したがって、実際に1年後までに掛ってくる利息と言うのは本文で計算したものよりも少なくなります。
フリーローンはどう選べばよいか?金利だけで選んではいけない
この固定金利か変動金利かはフリーローンを選ぶ際にも気にする必要が有ります。多くの人はあまり気にせず、その時点の適用金利だけを見て決めていますが、もう少し深く考える人は金利の種類も気にするのです。
では何でもかんでも金利を気にする必要が有るかと言えばそうではありません。ローンの利用方法によってはもっと別の視点を持つことも必要になります。
例えば長期に返済することになるローンの場合には、その間ずっと利息の支払いが必要になるため、金利を気にする必要が有ります。
これに対して、短期の借入では借入期間が短いため、金利の違いによる利息の差はそれほど大きくならず、有利な利用をするためにはもっと別な点に注意する必要が出てくるようになります。
ローンの利用方法を考えてみよう
そこでフリーローンを利用してみようかと考えている場合にはまず自分がどのように利用すつもりなのかよく考えてみましょう。ポイントになるのは次の点です。
- 借入金額
- 返済期間
借入金額つまり元本が大きければ利息は膨らみますし、元本が小さくても借入期間が長ければやはり利息が膨らむことになります。
ローンを借りる際には、少し余分に借りようなどと考えると、その分利息は大きくなるということになるので、必要な金額だけを借りる為に、事前に必要な金額を正確に把握することが節約にもつながります。
有利な借り入れをするためにはまずは借入金額を決めることから始ることが重要になるでしょう。
金額が決まれば返済期間も計算できるでしょう。カードローンなどの場合には、大概金融機関のホームページに返済シミュレーション機能が提供されているので、それを利用すればすぐに計算できます。
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長期に返済を続けるのであれば金利を重視すべき
ではどういった時に金利を重視するべきなのでしょうか。先ほど計算したように1年間と1月間の利息を見るとわかりますが、金利の違いが利息に大きく影響してくるのは、借入期間が長くなった時です。
これに対して、短期間に返済してしまう予定の場合には、金利が多少違っていたとしても、利息は大きな差となって現れません。したがって、あまり金利は気にせず、自分の使い勝手などで判断したほうが良いでしょう。
変動金利の場合も判断としては同じですが、長期の借入では将来的な経済動向も加味しての検討が必要で、場合によっては変動金利は止めて固定金利にしたほうが良い場合も有るでしょう。
証書貸付での利息の計算は借入が1度きりですから、非常に簡単です。もちろん変動金利の場合には変動による変化も入れなければなりませんから複雑になりますが、それでも元本は一貫して減っていくので計算は難しくありません。
これに対してカードローンの場合には、利用限度額の枠内であれば、何度も借り入れができますから、返済して行っても元本が増えてしまう可能性が有り、何度も借入を繰り返していくと、利息の計算はそれだけ複雑になってしまいます。
また利用額が増えてくるとカードローンに多いリボルビング払いのように元利合計で返済額が一定になる返済方式では、利息が増えて元本の返済分が減ってしまいます。
これではいつまでたっても利息ばかり返済することになって、非常に不利な利用が続きます。
こういった不利な状況を判断するためにも、実際に自分の利息を把握することは大変重要ですから、自分の利息が把握しにくいような複雑な借入はしないように注意する事を勧めます。
金利の他にも気にすべき点が有る
このように長期の返済を伴う場合には金利を重視して選ぶ必要が有りますが、短期の返済の場合には他にも気を付けるべき点があります。
これはフリーローンでも主にカードローンで気をつけなければならないことですが、カードローンは融資を受ける際にATMを利用するのが普通です。ATMは時間や提携関係によって利用手数料が必要になります。
この利用手数料は通常108円あるいは216円なので微々たるものと考えがちですが、少額を短期間借入れる場合を考えると、実はこれが利息に匹敵するような額なのです。
つまり少額の借入の場合には金利よりも、こういった余分にかかってしまう費用に注意する必要が出てくるわけです。少額だからと言って馬鹿にしていると、実は利息を倍払っているのと同じことになっていたりすることも有るのです。
フリーローンは不利!目的がはっきりしていれば目的別ローンにすべき
お金を借りるにはそれなりの理由が有るのが普通なのですが、最近ではそのあたりが曖昧になってしまっていて、とにかくフリーローンで借りてしまえばよいと考える人も多くなってきています。
しかしそんな借り方をすれば、何に使ったかわからないうちに借入れしたお金が無くなってしまいかねません。
ですから本来はお金を借りる時点で、その目的をはっきりさせるべきなのです。
目的がはっきりしていれば、それに沿った目的別ローンが有るかもしれません。一般的にはフリーローンよりも目的別ローンのほうが固定金利にしろ変動金利にしろ低くなっているのが普通で有利な借り入れができるのです。
借りたお金の利用目的をはっきりさせよう
フリーローンの利用を考えている場合でも、実際にはお金が必要だから借りるわけで、少額なら生活費の補てんということも有るでしょうが、高額の借入には必ずその利用目的というものがある筈です。
まずは自分のお金の利用目的をはっきりさせておきましょう。例えば何か物入りで生活費が足りなくなり、借入が必要になったというのであれば、本来はその物入りの理由でお金を借りるべきだったわけです。
そこで必要なのは、何らかの理由でお金が必要になった時には、先を見越して、そこでお金を使ってしまったらどうなるかを考えてみましょう。
将来的にお金が足りなくなるというような判断は、日頃から自分のお金の管理がしっかりできていなければ出来ません。多くの場合には自分の収入は分かったとしても、支出は把握できていません。
そこで将来ローンを借りる借りないは別にして、まずは自分のお金というものをしっかり把握することを始めてみましょう。そのためには家計簿が必要になりますがなかなか実践できないという人も多いでしょう。
そこで利用したいのがインターネット上にある家計簿サービスです。銀行などと連動しているようなデラックスなものでなくても自分が何にお金を使っているのかが把握できれば良いので無料のサービスで構いません。
最近ではスマホが普及していますから、便利に利用できるはずです。まずは今日から自分の支出を把握してみてはいかがでしょうか。
利用出来る目的別ローンは無いか調べてみよう
目的がはっきりすれば、それに利用出来る目的別ローンが無いかどうか探してみましょう。もし目的に沿うローンが有ればフリーローンではなく目的別ローンが利用できます。
もし適用できる目的別ローンが無かったとしても多目的ローンを利用することで、その目的に対応するローンを作ることもできる可能性が有ります。
フリーローンは何にでも使えて便利ですが、適用される金利には大きな差が有り、利用出来るのであれば目的別ローンを利用した方が有利な借り入れができます。
十分検討して有利なローンが利用できるようにしましょう。
フリーローンと目的別ローンを比較する
最後にフリーローンと目的別ローンをみずほ銀行を例に比較しておきます。良く金利を見てフリーローンの利用がどの程度に不利になるのかを確認してみてください。カードローン以外は固定金利の例です。
ローンの種類 | 金利 |
---|---|
住宅ローン(35年) | 1.51% |
教育ローン | 4.3% |
リフォームローン(10年以下) | 4.3% |
多目的ローン | 6.7% |
カードローン | 4.0%~14.0% |
カードローンの場合最低金利は4.0%ですが、これは利用限度額が800万円以上になるような大きな収入と信用がある人の場合で、初めて申込みを行うような人は利用限度額は100万円未満となり適用される金利は14.0%となります。
これを見れば目的別ローンがいかに有利な借り入れができるのかが良く分ります。借入する際にはよく考えて利用するローンを決めなければなりません。
ここで低い固定金利で利息の安いフリーローンについて纏めておきます。
- フリーローンは利用目的を問われず借入ができる
- 固定金利と変動金利のどちらが有利なのかは経済動向なども考える必要が有り判断は難しい
- フリーローンは利用方法なども勘案して利用を考えたほうが良い
- 目的がはっきりするのであれば目的別ローンを利用した方が有利
フリーローンは申込みが簡単で利用したくなりますが、決して有利ではありませんから、ローンを利用する際には安易な選択をしないように注意してください。
【みずほ銀行の記事はこちらも参考にどうぞ!】
みずほ銀行フリーローン徹底分析。誰向け?どんな場面で役立つ?